研究活動

『講座・日本語教育学』

    創設20周年記念事業として、
    わたしたちの講座で編集した
    日本語教育学の本格的概説書です。

縫部義憲監修 『講座・日本語教育学』 全6巻 スリーエーネットワーク

1996年に創設された「広島大学日本語教育学科」は、2006年に創設20周年を迎えました。
その記念事業の一環として、当時の講座主任・縫部義憲教授(現・名誉教授)を中心に、講座教員が一丸となって、記念シンポジウム開催および出版事業に取り組みました。

そのとき出版されたのが、『講座・日本語教育学』です。
言語分野、教育分野、多文化教育分野、心理学分野に関する領域について、日本語教員養成の新ガイドラインに即した概論書・基礎的研究書となることを目指した6巻本です。
過去・現在の講座教員をはじめとして、全国のその分野の専門家が執筆に携わっています。

『講座・日本語教育学』が想定している読者は、研究者、大学生、大学院生、指導的教師などです。
全巻を流れる基調は「つながり」の探究という思想です。それぞれが創出する学際的領域における相互作用、学問間の相互交流をイメージしています。教育を中核に据えて、教育と言語、教育と文化、教育と心理、教育と社会・世界、さらに言語と文化、言語と心理、文化と心理、心理と社会、言語と社会、文化と社会という「つながり」を軸として日本語教育学というシステムを構築しようという趣旨です。

第1巻『文化の理解と言語の教育』(水島裕雅編)

第1巻 『文化の理解と言語の教育』 (水島裕雅編)

第1章 日本文化への視座
 第1節 世界の中の日本文化(水島裕雅)
 第2節 日本文化をどうとらえるか
     ―比較文化研究の視点から―(水島裕雅)
 第3節 日本文化をどうとらえるか
     ―思想史の視点から―(中村春作)
 第4節 外国で教える日本文化
     ―ワルシャワ大学の場合を中心として―(岡崎恒夫)
 第5節 世界の中の近・現代日本文学(西原大輔)
第2章 日本文化と異文化・異言語
 第1節 日本の「他者」経験と文化の翻訳(中村春作)
 第2節 近代日本における西洋体験
     ―比較文学の視点から―(水島裕雅)
 第3節 植民地教育と文化の問題(安田敏朗)
 第4節 日本文化と外部の視点(川上郁雄)
 第5節 グローバリゼーションの中の日本文化(倉沢愛子)
第3章 国際交流の中の日本語教育
 第1節 現代世界の人の移動と日本語教育(野山広)
 第2節 帰国・入国児童生徒の教育問題(池上摩希子)
 第3節 日本語ボランティア活動(西尾珪子)
第4章 日本語教育の歴史と展望
 第1節 日本語教育史・言語政策史(関正昭)
 第2節 日本語教育と国語教育 ―思想史の視点から―(中村春作)
 第3節 日本語教育における教育哲学(縫部義憲)
 第4節 日本語・日本語教育に関する試験の現状と展望(三枝令子)

第2巻『言語行動と社会・文化』(町博光編)

第2巻 『言語行動と社会・文化』 (町博光編)

第1章 言語と社会・文化
第1節 言語能力・伝達能力・社会文化能力(牧野成一)
 第2節 言語接触・言語管理(高永茂)
 第3節 多言語社会・多言語教育(中島和子)
 第4節 多文化・多言語主義・アイデンティティー(中島和子)
 第5節 方言学・位相論(佐々木史,町博光)
第2章 言語使用と社会・文化
 第1節 コミュニケーションにおける言語・非言語行動
    (久保田真弓)
 第2節 語用論的規範(大浜るい子)
 第3節 待遇・敬意表現(大浜るい子)
 第4節 会話分析(大浜るい子)
 第5節 言語行動における比喩の役割(柳澤浩哉)
 第6節 レトリックと説得行動(柳澤浩哉)
第3章 対照言語行動分析
 第1節 日本とドイツの言語行動対照分析
     ―相互行為枠設定について(丸井一郎)
 第2節 日仏語におけるオノマトペ使用の違いについて(大浜博)
 第3節 日台言語行動対照研究―他家での食事時の言語行動について
     (大浜るい子,王曉青)
 第4節 日本と韓国の言語行動対照分析(生越直樹)
 第5節 日本とミャンマーの言語行動対照分析(高谷紀夫)
 第6節 日本とニュージーランドの言語行動対照分析
     ―相づちとターン交替の関係から(大浜るい子,西村史子)
 第7節 日本とアメリカの言語行動対照分析(津田早苗)

第3巻『言語学習の心理』(迫田久美子編)

第3巻 『言語学習の心理』 (迫田久美子編)

第1章 言語学習を支える心理
 第1節 学習者の「ことば」を観る(迫田久美子)
 第2節 「こころ」から「ことば」を観る(松見法男)
 第3節 脳のはたらきから「ことば」を観る(酒井弘)
第2章 第二言語としての日本語の習得
 第1節 第二言語習得論と習得モデル(白井恭弘)
 第2節 第二言語習得に影響する言語と環境(迫田久美子)
 第3節 第二言語習得にかかわる不安と動機づけ(倉八順子)
 第4節 第二言語習得研究と日本語指導(小柳かおる,迫田久美子)
第3章 言語学習の認知過程
 第1節 言語学習と記憶(松見法男)
 第2節 語彙の習得(松見法男,邱學瑾,桑原陽子)
 第3節 文章の理解(中條和光)
 第4節 言語の認知と運用の基盤(酒井弘)
第4章 日本語教育のための実証研究
 第1節 日本語教育研究と統計分析(迫田久美子)
 第2節 教育と研究のための統計知識(1)(松見法男)
 第3節 教育と研究のための統計知識(2)(松見法男)
 第4節 教育と研究のための統計知識(3)(松見法男)

第4巻『言語学習の支援』(水町伊佐男編)

第4巻 『言語学習の支援』 (水町伊佐男編)

第1章 日本語教師の資質と自己成長
 第1節 日本語教師の実践的知識・能力(伊東祐朗,松本茂)
 第2節 教育実習(横溝紳一郎,迫田久美子,松崎寛)
 第3節 日本語教師の自己成長プログラム(當作靖彦,横溝紳一郎)
第2章 日本語学習活動の指導
 第1節 日本語学習の統合的指導法(清ルミ)
 第2節 音声の指導法(松崎寛)
 第3節 文字の指導法(カッケンブッシュ寛子)
 第4節 文法・文型の指導法(坂本正)
 第5節 学習者の日本語の評価(小林ミナ)
第3章 情報社会における学習支援と教師支援
 第1節 現代社会と電子メディアの利(活)用(水町伊佐男)
 第2節 日本語教師のメディア・情報技術活用(水町伊佐男)
 第3節 オンラインによる教師研修(春原憲一郎,横溝紳一郎)

第5巻『多文化間の教育と近接領域』(倉地曉美編)

第5巻 『多文化間の教育と近接領域』 (倉地曉美編)

第1章 日本語教育における言語と文化の総合的なアプローチ
 第1節 学習者の多様性と日本語教師の役割:
     「学習者中心の日本語教育」の観点から(横溝紳一郎)
 第2節 学校教育におけるJSL児童生徒への日本語教育
    (川上郁雄)
 第3節 地域の日本語教育:成人の学習者を対象に(尾崎明人)
 第4節 教えない日本語教育:地域社会との協働をめざして
    (春原憲一郎)
第2章 多文化間の支援と理解のための心理学
 第1節 カルチャー・ステレオタイプ(倉地曉美)
 第2節 異文化接触に伴う心理(高井次郎)
 第3節 多文化間の心理的援助(倉地曉美)
第3章 多文化共生のコミュニケーション
 第1節 多文化理解のコミュニケーション理論(久米昭元)
 第2節 インタラクション(上原麻子)
 第3節 多文化共生のコミュニケーション能力とその開発
    (倉地曉美)
第4章 多文化理解と共生のための教育的アプローチ
 第1節 日本事情における文化と教育の統合(細川英雄)
 第2節 より良い世界のための言語教育(ケイツ・キップ)
 第3節 多文化・多言語主義と教育実践(中山あおい)
 第4節 ジャーナル・アプローチ:
     多文化間の精神医学・心理学・教育・
     コミュニケーションの接合点(倉地曉美)

第6巻『言語の体系と構造』(多和田眞一郎編)

第6巻 『言語の体系と構造』 (多和田眞一郎編)

第1章 日本語の体系 -日本語を理解する-
 第1節 音声・音韻(松崎寛)
 第2節 文字・表記(加納千恵子)
 第3節 文法Ⅰ(語)(多和田眞一郎)
 第4節 文法Ⅱ(文)(白川博之)
 第5節 語彙・意味(町博光)
第2章 日本語の歴史 -体系の背景を考える-
 第1節 日本語史(沼本克明)
 第2節 日本語の系統(多和田眞一郎)
第3章 対照研究 ―学習者から見た日本語を考える―
 第1節 対照研究と日本語教育(井上優)
 第2節 日本語とスペイン語・ポルトガル語(太田亨)
 第3節 日本語と中国語(于康)
 第4節 日本語と韓国語(深見兼孝)
 第5節 日本語と英語(酒井弘)
第4章 言語研究と日本語教育 -教育と研究のつながりを考える-
 第1節 日本語教育と音声(土岐哲)
 第2節 日本語教育と文法(野田尚史)
 第3節 言語教育と言語理論(酒井弘)
 第4節 言語教育と言語研究を結ぶために(縫部義憲)


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