広島大学で日本語教育を専攻している学部生 松澤咲陽子さんに,大学生活について聞いてみました。
Q1)一言で言うと,広島大学のキャンパスライフってどんな印象ですか。
休憩時間は優しい先生と先輩と仲間とほっとひと息お茶を飲んで,研究の時は熱く頑張ろう!
という雰囲気がある印象ですかね。
Q2)高校の時と大きく違うなと思うところはどんなところですか。
授業を自由に選択し,各自で時間割を組むので,全く同じスケジュールでキャンパスを動く友達はいないことです。毎日朝8時半に始まって16時に終わる高校と比べて,大学は毎日が不規則な日程となるので,自分でスケジュール管理をする必要があります。授業が8時45分から始まる曜日もあれば,10時半から始まる曜日もあります。その空いた自由時間で,課題をしたり,友達と遊んだり,自動車学校に行ったり,バイトをしたりします。
Q3)授業は自由に選択できるということですが,どんな授業を受講していますか?
1年生の時は自分の興味関心に合わせて教養科目を中心に選択し、グローバルな視野や多元的な視点で物事をとらえるための基礎となる力を養います。下で紹介する私の時間割にある「現代社会学」や「日本の歴史」などは教養科目として受講したものです。
また、日本語教育系コースの学生は第二外国語の履修が必修です。ドイツ語,フランス語,スペイン語,中国語,韓国語,アラビア語,ロシア語の中から選択できます。私はドイツ語を選択しました。
2年生,3年生は日本語教育の授業を多く選択します。広島大学は,日本語文法,教授法,社会言語学,文化研究など,国公立大学の中でも,幅広い多くの日本語教育専門家が揃っている大学です。「どの授業を選択しようかな〜」と履修する授業を選べるのも大学の授業の楽しさの一つです。学べることはどんどん学ぶ!と言う気持ちで、主体的に履修していく気持ちが大事だと思います。授業中は、学生同士で発表したりディスカッションしたり,教え合うことも多く、同級生との仲も深まります。
また,他の学部の専門科目を選択することも可能です。私は、異文化や国際社会,心理学に興味があったので,空いた時間に,他学部の授業も履修していました。学部を超えての授業選択ができるのは,総合大学ならではの良さだと思います。
Q4)専門の授業の中で特に印象的だった授業について教えてください。
社会言語学,日本語の音声,第二言語学習の心理 などです。
Q5)例えば,「社会言語学」の授業ではどんなことを学びましたか。
ことばのバリエーションについて学びました。日本社会の中にはどのような日本語のバリエーションがあるか考えた時に,最初は「日本語は方言たくさんあるしな〜」とだけ思っていたのですが,なんとその他に,性別や年齢,役割によっても様々な日本語があると勉強した時には,ちょっとした衝撃を受けました。阿笠博士が「そうじゃ,コナン君」と言ったシーンを見た日本語学習者は,まさか年齢差による日本語の違いなんてことは,最初は分かるはずがなく,むしろ「使ってみようかな〜」まで思っちゃうかも。こんなにもバラエティ豊かな日本語に出会う学習者…そりゃ勉強大変だよね…思いました。
Q6)アルバイトやサークル活動はしていますか?
はい,すき家でバイトをしています。サークル活動は,ひがしひろしま防災まちづくりプロジェクト(HBMプロジェクト)で代表として活動しています。この団体は,災害が起こる前に地域住民と外国籍住民の繋がりを作ることを目的としたプロジェクトです。広島大学がある東広島市は,全国の中でも外国籍住民がとても多い地域で,大雨などの災害時には,行政からの公助だけでなく,市民同士の助け合い「共助」がキーになってきます。日本語教育系コースの学生が学年を超えて活動しています。
また,市の地域日本語教室にボランティアスタッフとして,週に1度参加をしています。18才以下の外国籍児童が宿題と日本語の勉強をしにくる「U―18」と,年齢国籍関係なく集まっておしゃべりをする「わいわい」です。サンスクエアで週に2回実施しています。
Q7)広島大学の日本語教育のゼミについて教えてください。
私の所属しているゼミでは,学部生と大学院生が一緒になってゼミをします。ゼミには,中国やイラン,オーストラリアからの留学生もいます。皆がいろいろな視点から一つの研究についてアドバイスや議論をするので,毎回学びがとても多いです。また,他の学生の研究に対して自分が意見する時は,熟読した上でないといけません。とても頭を使いますが,必ずそこで新たな視点を得ることができます。またそこで出された他のメンバーからの意見などは,自分の研究のヒントとなることもありますので,毎回とても充実しています。
Q8)卒業後の進路について,今の考えを教えてください。
学部を卒業したら,大学院へ進もうと考えています。日本語教育の教授法の研究をさらに極めて,修士を終えたら日本語教師として海外で働こうと考えています。
Q9)広島大学教育学部の日本語教育系コースへ進学を考えている方へメッセージをお願いします。
最近,海外実習の授業でスリランカへ行ってきました。3週間教壇に立ち,現地の大学で日本語を教えてきました。ある学習者に,「僕はまだ日本語が上手じゃないけど,先生のおかげで日本語をもっと勉強したくなったよ」と言われた時の気持ちは今でも忘れません。私にとって,日本語教育は,みんなで山を乗り越えていくようなものです。とても温かくて,熱い!一緒に広島大学で日本語教育を勉強してみませんか?
(松澤咲陽子/長野県出身)