1)修了後、どんな仕事をしていますか?

株式会社サンリオで商品の開発に携わっています。海外製の商品も多く、出張や外国人とのやり取りもあり、そこでは大学で学んだことも役立っています。以下で、今につながる思い出の授業を紹介します。

2)学部の思い出の授業

学部の教養ゼミでは自由なテーマを調べることになり、コンビニで「アイスを温めてください」と言ったら店員がどんな反応をするか調査しました。店員は戸惑うものの、「何秒ですか?」「若者の間で温めるのが流行ってるの?」と私に質問しながら、徐々に納得してアイスをレンジで温めてくれます。人は自分の認知と矛盾する情報を得ると、情報の変更や追加をして矛盾を解消しようとします。これは認知的不協和理論と呼ばれ、店員の様子からその理論が観察できました。

3)大学院の思い出の授業

演習で繫華街のバーに通い、日本在住の外国人が形成するコミュニティを観察しました。一般客の振りをしながら、バーに通う外国人に接触します。相手は酔っていたり、たくさん質問をされて訝しんだりしますが、一緒に盛り上がりながらあの手この手で会話を続けて話を聞き出し、バーの空間の効果や人間関係について考えました。

思えば、大学院の同期の半分は留学生で、彼らとの会話も試行錯誤だらけでした。言葉が伝わらないことも多かったですが、みんなで知恵を絞りながらの会話はとても楽しかったです。

4)今にどうつながっているか?

仕事で関わる外国人は日本語を話してくれますが、うまく会話が成立しないこともあります。そんな時、上記の授業や大学院の同期を思い出します。伝わらない会話は散々経験したので苦ではありません。

認知的不協和の状態がそうであるように、伝わらないコミュニケーションはストレスです。そのストレスから逃れるため、人はついコミュニケーション自体を避けたくなりますが、ディスコミュニケーションを楽しむ技術を大学で学んだ気がします。そしてそれは、外国人とのコミュニケーションに限った話ではありません。

5)高校生へのメッセージ

大学は自由で、好きなことができる場所です。日本語教育系コースには多様な学びがあります。受験先に悩んでいたら、ちょっとこのホームページ内にある卒論・修論・博論の題目一覧を見てみてください。どんなことが学べるか、きっと想像が広がります。

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