・プログラム概要

日本語パートナーズ事業は国際交流基金という独立行政法人主催のプログラムです。派遣員は年齢問わず募集されており、日本語教師アシスタントとして東南アジアの中学校、高校に赴任します。

・活動内容

2022年の3月から10月まで、マレーシアのマラッカ州で日本語教師のアシスタントをしていました。
基本的に地元の先生方と同様に週5日出勤していました。主な仕事としては授業のアシストや文化紹介のワークショップです。メインの授業は現地の先生が担当するため、私はなるべく生徒に近い距離で個別のサポートをしていました。学校のイベントも多く、文化祭では生徒と日本料理の屋台を企画したりなど密度の濃い時間を過ごし、あっという間に帰国の時期を迎えました。

・マレーシアという国

私が留学先を決めた理由でもあるマレーシア最大の特徴は民族多様性です。割合としては8割方イスラム教徒が占めるのですが、地域によって中華系とインド系の方が生活しておられます。他文化に接する機会が少ない日本で暮らす私にとって、文化や価値観の違う人々がどのようにリスペクトを送り合い共同しているのかとても興味がありました。実際現地でのそれらの文化に揉まれながらの生活になりました。住む場所や食べるものはもちろん、授業の内容までも宗教によって違いがあります。私は寝る間も惜しんでそれぞれのイベントに参加し、彼らと話す時間を設けました。様々な価値観に触れることができ刺激的な毎日を送れたと感じています。

・人の温かさ

 派遣期間中様々なトラブルに遭いましたが、現地の方々の優しさには毎回助けられました。特に印象に残っているのは東海岸のリゾート地、トレンガヌ州に旅行した際の出来事です。私はマラッカから夜行バスで10時間かけてトレンガヌに向かいました。その疲れもありバスの中にキャリーケースを置き忘れたままバスを降りてしまったのです。中には携帯とビザとパスポートが入っており絶体絶命の状況でした。藁にも縋る思いで近くにいた男性に声をかけたところ、一日かけて私のキャリーケースを一緒に探してくれました。ついにバス会社を突き止め何も盗まれることなく回収することができました。お礼を渡しても受け取らず、「次に君が困っている人を見つけたら助けてあげるんだ、それでいい」とだけ言い残し帰っていきました。1人で途方にくれている外国人である私にくれた優しさは、今でも忘れられません。

・おわりに

様々な価値観に触れ、トラブルつづきだった8ヶ月の留学は私の人生でかけがえのない経験になりました。生活や言語のハードルを感じたり、明確な目標がなかったりしても勇気を出して留学してみることをおすすめします。帰国する頃には心の中に大切な「何か」が芽生えていると思いますよ。