2013年7月4日(木)講演「人はどのように、そして、 なぜくり返すのか 」牧野成一教授

日本語教育学講座 講演会のお知らせ
牧野成一先生(プリンストン大学 名誉教授)

「人はどのように、そして、なぜくり返すのか」

日時: 7月4日(木)15:00~16:30
会場: 広島大学 教育学部 L棟104号室

 

発表要旨:

人がどのように、そして、なぜくり返すのかを色々な角度から追求していくことと、それが日本語教育とどのように関わるか、という問題を考えていく。ここでは言語行動に現れるくり返しの発話に限定して次のような点を考える。

  1. 1)劇作家平田オリザが区別しているコミュニケーションの型としての「会話」と「対話」は「省略」と「くり返し」という談話機能文法とそれぞれどのように関係し合っているのか。省略に反して「くり返し」は「冗長度」を高めるという理解が一般的であるが、ここでは、「くり返し」に積極的な機能を与える分析をした牧野 (1980) の『くりかえしの文法』を「会話」と「対話」との関連で見直してみたいと思う。
  2. 2)俳句のような極端に短く、従って、出来上がるまでにことばを深く切り捨てていく詩は人に詩的情報を伝えることができるのか。この問題を与謝蕪村の俳句「菜の花や 月は東に 日は西に」の英語への翻案を使って考える。
  3. 3)平田の戯曲『東京ノート』ではどのようなくり返しが使われているのか、その会話分析をする。
  4. 4)文体も基本的にはさまざまな言語表現のくり返しである。それを村上春樹の文体を通して探る。
  5. 5)日本語教育では「くり返し」はどう教えるべきか。
  6. 6)くり返しの機能を見つけるために野地 (1977) の幼児期の第1言語習得のコーパスを吟味する。
  7. 7)脳科学で言われている模倣の原点とも言えるMirror Neuronsの存在、さらには自閉症患者における相づちの欠如を根拠として、くり返しの本質的機能が、社会的な動物としての人間に不可欠な「相互作用」(インターアクション)なのではないかという仮説をたてる。

 

お問い合わせ先:
教育学研究科日本語教育学講座事務室
e-mail: nihongoアットマークhiroshima-u.ac.jp
Tel: 082-424-4620

 

牧野先生講演会ポスター

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